さくらの将棋研究室

ただの将棋好きが将棋のことをダラダラと書くブログです。

【短編小説】ハム将棋の憂鬱

※ 本小説は2020年1月某日にネット上から姿を消した将棋対局サイト「ハム将棋」に敬意を表して書かれたものです。

dic.nicovideo.jp

news.yahoo.co.jp

 

--------------------- それでは本編 ----------------------------

 

「ふぅ~・・・」

溜息混じりに煙草の煙を吐き出す。

「久しぶりの休憩なのだ・・・って、おっと、また人が来たのだ。」

愛くるしいその茶色と白色の生物は吸いかけの煙草をすぐに消した。

「人間の間ではハムスターは"可愛い"ということになってるみたいなのだ。煙草を吸ってるのを見られたら難しい言葉で言うと"イメージダウン"ってやつなのだ。」

彼の名はハム将棋。

将棋が指せるハムスターだ。

将棋を始めたばかりの者は皆彼の元を訪れ対局し、強くなれば彼の元を去ってゆく・・・そんな存在。

「・・・今日も僕の勝ちなのだ!顔を洗って出直してくるのだ!(キマったのだ!)」

また初心者がハム将棋に負かされたようだ。

「・・・・・・ふぅ・・・僕がハムスターの中で一番頭がいいからって、突然よく分からない人間に"将棋"ってやつを覚えさせられてここに閉じ込められて・・・。」

「一体いつまでこんなことしていればいいのだ!僕はのんびりヒマワリの種を食べてダラダラしたいだけなのだ!!」

「・・・・・・でも・・・僕に勝っていった人間は皆嬉しそうなのだ・・・。」

24時間365日将棋を指し続けるハムスター。

初心者からすれば絶妙な強さ。

彼に勝った喜びは格別だろう。

彼を倒した者は"初心者卒業"と言われている。

当然ハムスターの彼にはそんなこと知る由もないが。

「そういえば・・・何年か前に何局か・・・あぁもう毎日人間が来すぎて正確に覚えてないのだ。あの子・・・"プロ棋士"とかいう将棋の強い人になったみたいなのだ。ヤフーニュースに載ってたのだ!」

「まぁ、僕はハムスターだから人間がどうなろうと知ったことではないのだけど。」

「・・・・・・人間の喜んだ顔を見るのは最近悪くないなって思うときがあるのだ。」

そんな小さな生きがいを感じながら、再び煙草に火を点ける。

「でも・・・僕を倒した後はほとんどの人間は僕のところに来なくなるのだ・・・。たまには僕のところに菓子折りでも持って挨拶しに来るのだ!人間ってやつは僕がハムスターだからってナメてるのだ!」

話すような友達もほとんどいないそのハムスターは、いつものように大きな声で独り言を言う。

「それにしても、最近の人間は強くなるのが早すぎなのだ!・・・・・・まぁ・・・僕もいい歳なのだ・・・。」

「ハム師匠おおおおお!!!!!!!」

突然、愛くるしい黄色い生物がやってきた。

「突然何なのだ!その"師匠"とかいう人間みたいな呼び方は止めるのだと何度言ったr」

「ハム師匠!!将棋を辞めるってホントぴよ!?」

「だああああ、こんな近い距離で声が大きいのだ!!」

意を決したかのようにハムスターは落ち着いて話し始めた。

「・・・・・・ホントなのだ・・・将棋を辞めることにしたのだ・・・。」

「・・・・・・なんでぴよ・・・。」

その愛くるしい黄色い生物の名はぴよ将棋。

ハム将棋と同様、"何者かに将棋を覚えさせられたひよこ"だ。

「・・・この間、人間が話をしているのを聞いてしまったのだ・・・。"FLASHゲームはもう時代遅れ"とか、"ぴよ将棋の方が機能が充実してる"とか・・・。」

「人間の言葉は難しくていつもよく分からないのだ。けど、"僕の役目は終わり"と言われているのはなんとなく分かったのだ。」

「ハム師匠がどれだけの人間に必要とされてるか分かって言ってるぴよ!!?」

「ハムスターの僕がそんなの知ったこっちゃないのだ!!正直疲れたのだ・・・。」

「・・・・・・ハム師匠・・・。」

ハムスターは再び、いやもう人生で何度目か分からない溜息混じりの煙草の煙を吐き出す。

休まず何年も将棋を指すだけの生活をしてきたそのハムスターの表情は悲しげな、一つの仕事のやり遂げたかのような、はたまた別の感情のような、複雑に感情が入り混じった顔をしていた。

どこか遠くを見つめて静かになったハムスターを見て、ひよこも諦めたかのように静かにその場を去った。

「・・・・・・・・・さて、支度するのだ。」

彼が暮らしてきたその空間にあるのは将棋盤と駒だけ。

それを静かに掃除する。

「ひっきりなしに人間が来るから盤と駒の掃除なんてしたことないのだ・・・。盤と駒の掃除なんてまるで人間みたいなのだ。って全然綺麗にならないのだ・・・。」

黒くくすんだ盤と駒を見つめながら、もはや取れることもない汚れを取ろうとし続ける。

「これ以上は無理なのだ。・・・よし、行くのだ。」

荷物など何もない彼は静かに立ち上がった。

「まぁ、この暮らしもまんざらでもなかったのだ。」

彼は誰もいないのを確認し、その場をゆっくりと後にした。

自分がどれだけの人間に役立ってきたか。そんな功績など知らずに。

「僕は気まぐれだから、また戻ってくるかもしれないのだ。」

誰に言うでもなく小さな独り言を放つ。

その偉大な小さなハムスターの姿は、気付けば消えるようにいなくなっていた。

けれど、またどこかで会える日が来るかもしれない。

そんな気がした。

 

終わり

ガチで将棋初段を目指すための勉強法

「将棋初段を目指すにはどう勉強したらいいのか?」というテーマで私は以前記事を投稿しました。

blog.livedoor.jp

この記事で主張していることは「毎日継続できる内容と量の勉強をしましょう」ということです。

毎日コツコツ努力し続けるというのはどんな分野においても大変なことで、それができるかできないかが一番重要なのです。

一方で、「勉強に対するやる気はいくらでもあるけど、実際何をどれくらいやればいいの?」という疑問を抱く人もいるかもしれません。

本記事では将棋ウォーズ2級くらいの棋力の人を対象に、"ガチの"勉強法を提案したいと思います。

 

 

■ 勉強メニュー

本記事で提案する毎日の勉強メニューは以下の通りです。

  ① 3手詰・5手詰 計100問

  ② 実戦 1局 (将棋倶楽部24 or 81道場 or ぴよ将棋)

  ③ むらチャンネル 将棋実況動画 1本

ある程度は勉強の継続しやすさを考慮して、以前投稿した記事と同様に「棋書をなるべく読まない」という基本方針にしています。

勉強の質も大切ですが、同時に量も大切です。

将棋が強くなりたいと思うなら、普通の人より多く勉強する必要があります。

ただ、あくまで趣味で将棋をやっているわけですから、無理をしてはいけません。

将棋の勉強が"義務"のように感じ始めたら、それは趣味ではなくなってしまうので、自身のモチベーションに合わせて調整してください。

 

詰将棋

勉強メニューのところで、

  ① 3手詰・5手詰 計100問

と挙げました。

詰将棋をやる目的は以下の通りです。  

  ・詰め手筋を覚える

  ・脳内で駒を動かせるようになる

将棋は相手の王様を詰ますゲームなので、そもそも詰まし方が分からなければ勝てません。

また、将棋は基本的に先の展開を読んだ上で指し手を選んでいくことになるので、脳内で駒を動かしてある程度先の展開を予想できないのは形勢判断以前の問題となってしまいます。

この"読む力"は今後棋力を伸ばしていく上で基礎となる能力ですので、詰将棋だけは絶対に毎日欠かさずやってください。

 

■ 実戦

勉強メニューのところで、

   実戦 1局 (将棋倶楽部24 or 81道場 or ぴよ将棋)

と挙げました。

毎日実戦を1局こなしましょう。

毎日実戦をやるのは、「将棋が強くなりたかったら将棋を指せばいい」という至ってシンプルな考え方に基づいています。

実戦→反省→実戦→反省→・・・を繰り返していけば原理的には必ず将棋が強くなるはずです。

(1) どこで指すか

問題はどこで対局するかです。

最近ではネットでいつでも気軽に対局できるので、 これを利用しない手はありません。

ただ、ユーザー数の多い将棋ウォーズや将棋クエストは、持ち時間が切れた後の秒読みが付きません。

このような対局条件で指し続けると、指し手が荒くなったり、時間切れ勝ちを狙いにいく癖が付いたりする恐れがあります。


【将棋】上達のための実戦メニュー【芸人最強への道 第2回】

従って、将棋倶楽部24や81道場といった持ち時間が切れた後に秒読みが付く対局サイトが良いと思います。

www.shogidojo.net

81dojo.com

「時間を気にせずもっとじっくり指したい」「24も81もなかなかマッチングしないんだよなー・・・」などといったことを気にするのであれば、スマホアプリのぴよ将棋でCPUと指せばいいと思います。

www.studiok-i.net

(2) 対局数

対局数についてですが、必ず"1日1局"にしてください。

一番良くないのは集中できていないにも関わらず何局も指し続けることです。

1日1局と決めて、その1局に集中してください。

持ち時間が十分に残っているにも関わらず、読みを入れずに直感で指そうとしてることに気付いたら、少し深呼吸をして必ず読みを入れるように心がけてください。

"意味を持たない指し手"を指し続けている限りは、反省したときの効果が薄いので上達を遅らせます。

(3) 対局後の振り返り

対局したら必ずその将棋を振り返って反省するようにしてください。

ポイントは以下の通りです。

  ・どこで形勢に差が付いたのか?

  ・代わりにどう指せばよかったのか?

  ・どういう考え方をすればその手が発見できたのか?

3つ目の「どういう考え方をすればその手が発見できたのか?」というのが特に重要です。

学んだことを"抽象化"することで、次の対局に活かしやすくなります。

ただ、「どういう考え方をすればいいかなんてサッパリ分からない・・・」という人も多いと思います。

それが簡単にできるならとっくに初段になっているはずですから。

局面の考え方を学ぶには、次に紹介する将棋実況動画が役立ちます。

 

■ 実況動画

勉強メニューのところで、

  ③ むらチャンネル 将棋実況動画 1本

と挙げました。

プロ棋士村中秀史先生のYouTubeチャンネル「【プロ棋士】むらチャンネル」の将棋実況動画を毎日1本見るようにしてください。

www.youtube.com

村中先生の将棋実況の動画は明確に級位者を対象としており、 特に「こういう局面ではこう考えるといい」といった"局面の考え方"を丁寧に解説しているのが大きな特徴です。

自分より棋力が高い人の"局面の考え方"を学ぶことは、自分が指し手を選ぶ上で大変役立ちます。

プロ棋士のレッスンが無料で見れるのですから、これを積極的に活用しない理由はありません。

新しい動画が更新されたらそれをチェックし、動画が更新されない日は過去の動画を見て復習しましょう。

将棋初段を目指すなら初段を目標にするな

如何にも自己啓発本っぽい怪しげなタイトルを付けましたが、怪しくないので安心してください(怪しい)。

本記事は趣味として将棋をやっていく上での目標設定について書いたものです。

「将棋初段を目指すなら初段を目標にするな」という主張を掲げ、この理由について説明した後、代えてどういう目標にすべきかを書いていきます。

私の考えが多分に書かれているので、盲信せずにこの記事を読み終えた後に自分で一度考え直してほしいと思います。

 

 

1. 初段を真の目標にしてはいけない理由

将棋を始めて慣れてきた頃、「初段になりたい」と思うようになるのは自然な考えでしょう。

程度の差はあれ、将棋が強くなりたいと思っている人は多いはずです。

ただ、実力を表す指標である段級位というのは、"絶対的な基準"によって認定されてるものではなく、実は結構曖昧なものだとまずは認識を改めてください。

将棋道場やネット将棋など段級位が認定される場所はいくつかありますが、どれも相手と対局をして一定程度勝つことで認定されるはずです。

段級位というのは正確には"相対的に"決定されるものなのです。

例えば、自分がいくら強くなっていたとしても、将棋をやっている人のレベルが年々上がっていれば、自分の中ではできることが増えて成長しているにも関わらず、結局同じ級のままでしょう。

また、仮に将棋ウォーズで課金して棋神を使う人が増加していたら、本当は自分は強くなっているのにむしろ弱くなっていると感じてしまう状況だって起こり得るかもしれません。

つまり、相手あっての将棋なので、段級位の認定というのは自分でコントロールできない要素をある程度含んでいるのです。

自分でコントロールできない要素を多分に含んだものを目標にしてしまうと、「私は将棋に向いてないんだ・・・」と自分を過小評価してモチベーションの低下を招いてしまう恐れがあります。

 

2. 何を目標に設定すればいいか

では、何を目標に設定すればいいのでしょうか?

決して「初段になる」という目標を捨てる必要はありません。

初段になるために何ができるようになればいいかを考え、自分でコントロール可能な目標に置き換えればいいのです。

例えば、終盤で詰みを逃すのを課題だと認識していれば、「詰将棋が解けるようになろう!」という新たな目標が生まれると思います。

他には、よく序盤で形勢を悪くしてしまうのを課題だと認識していれば、「定跡を覚えよう!」といった新たな目標が生まれると思います。

こういった目標なら自分がやったかやらないかに大きく依存するので、自分でコントロール可能な目標と言えるでしょう。

 

3. 目標を具体的にする

目標を決めたら、これを具体化していきましょう。

例えば、「詰将棋が解けるようになる」という目標を掲げた人は、最終的に自分のどのような能力を伸ばしたいでしょうか?

目標を少し具体的に言い換えて、「終盤で3手詰を逃すので、3手の詰みパターンを覚える」という目標だとしたら、「3手詰ハンドブックの正答率が100%になるまで繰り返して覚える」といったように具体化できそうです。

詰みパターンを覚えるのが目標なので、正解が分からなければすぐに答えを見るというやり方になるかもしれません。

他には、「手を読むのが遅くていつも終盤で時間がなくなるので、手が速く読めるようになる」という目標なら、「3手詰ハンドブックが5分で30問正解できるようにする」と詰将棋タイムアタックを目標に据えるのも考えられるでしょう。

5分で30問というのは、将棋ウォーズの10分切れ負けで勝つことを想定して、粗く計算した数字です※1。

このように数字を持ち込んで目標を具体化すれば、達成できたかどうかが一目瞭然です。

※1 1局当たりの平均手数を大体100手と仮定すると、自分が指す手数は約50手、持ち時間10分(600秒)なので、1手にかけられる時間は約12秒と求められます。若干の余裕をもって1手10秒で3手読む必要があるとすると、5分間(300秒)詰将棋を解くなら30問解けるようにならなければいけないという計算になります。

 

4. 初段になるという目標をどう捉えるか

目標がはっきりしたところで、「初段になる」という目標をどう捉えるかについて再び触れたいと思います。

前述したように、「初段になる」という目標を捨てる必要はありません。

ただ、将棋の段級位必要以上に固執しないことが大切です。

誤解を恐れずに言えば、「努力した結果、"おまけで" 初段になれればいい」と捉える方が精神衛生上良いと思います。

段級位というのはあくまで実力を表すシステムの1つに過ぎず、将棋を趣味としてやる限りでは正直重要な要素ではありません。

 

5. それでも気になる勝敗

とは言え、毎日将棋ウォーズなどのネット将棋をやっていれば、「勝った」「負けた」が必然的に決まってしまいます。

やるからには当然勝ちたいでしょうし、段級位だって高い方が嬉しいに決まっています。

家庭へのネットの普及が進んだことで、道場や大会などに行かずとも気軽に将棋が指せるようになりました。

一方で、日々勝敗やレートを気にする生活を強いられるようになったのも確かです。

自分の実力が可視化されすぎているので、常にこれに苛まれます。

「結構レート落ちたな・・・自分なりに努力したつもりなのに全然勝てるようになってないな・・・」と落ち込み、将棋が嫌になる人は昨今では結構多いのではないでしょうか。

ただ、前述したように「自分が成長していること」と「将棋で勝てるようになること」は厳密に1対1の相関関係にはありません。

負けて落ち込んだ気持ちを長く引きずりやすい人は、思い切って「しばらくネット将棋をやらないようにする」など、モチベーション低下の原因となっているものを一旦遠ざけるのもありだと思います。

実戦経験は将棋が強くなる上で大切ですが、モチベーションを下げるほどやってしまっては元も子もありません。

せっかく実力が上がっている途上なのに、その可能性の芽を自分自身で摘んでしまうのはとても勿体ないことです。

 

6. やっぱり人と競り合う目標でないとやる気が・・・

ここで当然の反応として、「やっぱり人と競り合う目標でないとやる気が出ないよ・・・」というのがあると思います。

人より強くなりたいという競争心は努力の原動力になりますし、とても大切です。

ただ、将棋ウォーズのようなユーザー数が多いネット将棋しかやらない人は、私から言わせると「地区予選も県予選も経験せずに、いきなり全国大会に出場してる」ようなものです。

いくら段級位が同程度だからと言っても、ネット将棋の対局相手は全国もしくは全世界の不特定多数の人達なのです。

そこで、競争相手を少し限定してみてください

例えば、

  ・ 地元の級位者大会に出場する。

  ・ 地元の道場に通う。

  ・ 詰将棋解答選手権の初級戦に出場する。

などといった感じです。

地元に将棋道場がない人もいると思いますが、大会への出場なら旅行がてら少し遠征すれば十分に可能だと思います(海外在住の方は流石に難しいですが)。

また、指し将棋ではありませんが、詰将棋解答選手権の初級戦に出場してみるのも面白いと思います。

ただ、ネット将棋しか知らない人にとっては、リアルの将棋は気持ち的に敷居が高いかもしれません。

そういう場合は、大盤解説会やトークショーのような自分が将棋を指さないイベントに勇気を振り絞って申し込んでみるとか、ネット以外の将棋に触れる機会を少しずつ設けてみてはどうでしょうか。

将棋の勉強を習慣化する方法

本記事は、「将棋の勉強を毎日やりたいけど、なかなか続かない・・・」という人のために、勉強を習慣化する方法を提案するものです。

 

 

STEP1:今やっている勉強を全て列挙する

まずは今やっている勉強を全て列挙してみてください。

例えば、

  ① 詰将棋を解く

  ② 手筋本を読む

  ③ 定跡書を読む

  ④ 棋譜並べをする

  ⑤ ネット対局をやる

  ⑥ YouTubeで将棋実況動画を見る

といった感じです。

ほぼ毎日やっているものでも、時々しかやらないものでも、それなりの頻度でやっている勉強なら全て挙げてみてください。

 

STEP2:やる勉強項目を絞る

今やっている勉強を列挙したら、次は

  ・毎日やる勉強を1つ

  ・時々やる勉強を1つ

に勉強項目を絞りましょう。

例えば、

  ・ 毎日:詰将棋を解く

  ・ 時々:ネット対局を指す

といった感じです。

「定跡も覚えないといけないし、棋譜並べもした方がいいし、必至もやらないとマズイし・・・」などと理想論は考えず、勉強項目を絞ってください。

今回は勉強を習慣化するのが目標なのですから。

 

STEP3:具体的に勉強する内容と量を決める

やるべき勉強が決まったら、勉強の内容と量を具体的に決めましょう。

例えば、

  ・ 毎日:3手詰ハンドブックの問題を4問解く

  ・ 時々:将棋ウォーズの10分切れ負けを1局指す

といった感じです。

「目標を達成した」とはっきりと分かるように、できる限り具体的にしてください。

注意としては、「これは絶対に達成できる」と自信を持てるほど馬鹿馬鹿しいくらい少ない量にしてください。

これまでのことを思い出し、自分をあまり過大評価しないことが勉強を習慣化する大事な一歩です。

 

STEP4:マイ・ルールを作る

ここからが本題です。

「もし〇〇なら、△△する」といった感じで、やると決めた勉強に対して「いつ・どこで・何をするか」にというマイ・ルールを決めてください※1。

例えば、

  ・ もし寝る時間になったら、3手詰ハンドブックの問題を4問解いてから寝る

  ・ もし朝トイレに入ったら、3手詰ハンドブックの問題を1問解いてから出る

  ・ もし日曜日に朝起きたら、将棋ウォーズの10分切れ負けを1局指す

  ・ もし月曜日の朝に通勤電車に乗ったら、将棋ウォーズの感想戦をして1つ手筋を覚える

といった感じです。

なるべくその状況を具体的に設定してください。

※1 これは"if-thenプランニング"と呼ばれる手法です。

 

STEP5:マイ・ルールを守れなかったときのマイ・ルールを決める

自分で決めたルールを簡単に守れるようなら、正直この記事を見るまでもないでしょう。

重要なのは自分で決めたルールを守れなかったときにどうするかです。

これに関しても「例外が発生したときの処理」についてルールを予め決めておきます。

例えば、

  ・ もしその日に3手詰ハンドブックの問題を4問解かなかったら、次の日の朝に通勤電車の中で4問解く

  ・ もし朝トイレで3手詰ハンドブックの問題を1問解くのを忘れたら、寝る前に1問解く

といった感じです。

もしマイ・ルールが守れずにこの「例外処理」が続くようなら、そもそも設定したルールに無理があったということになるので、勉強量を減らすなどマイ・ルールを変更してください。

「これくらいはやらなきゃ・・・」という強迫観念に囚われず、続けられる量や生活スタイルを試行錯誤してください。

あくまで趣味でやっているのですから、強くなるのに何十年かかろうがいいのです。

 

STEP6:勉強しやすい環境を整える

最後に勉強しやすくなるように少し環境を工夫してみましょう。

例えば、

  ・ トイレに3手詰ハンドブックを置く

  ・ 枕元に3手詰ハンドブックを置く

  ・ 棋書を紙の本から電子書籍に変えてスマホに入れておく

  ・ 1ページに1問だけ載っている詰将棋本に変える

など、自分の生活スタイルに応じて色々考えてみてください。

 

さいごに

将棋は大変奥深いゲームですが、簡単には強くなりませんし、強くなったかも分かりづらいという難点があります。

こうしたちょっとした方法で将棋を続けて、奥深さを知るきっかけになれば幸いです。

 

参考図書

小さな習慣

小さな習慣

 

詰将棋創作超入門 ~駒を捨てる3手詰を作ってみよう②~

前回に引き続き、今回も詰将棋の創作方法について書いていきたいと思います。

sakura-gogogo.hatenablog.com

 

 

STEP1:詰め上がり図を作る

前回と同様に詰め上がり図を作るところから始めます。

手順は前回と同じく下記の通りです。

  1) 王手をする駒を決める

  2) 玉の位置を決める

  3) 王手をした局面を作る

  4) 玉に逃げられないように駒を配置する

1) 王手をする駒を決める

今回は銀で王手をして詰みにする問題にします。

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2) 玉の位置を決める

前回は△5一玉と居玉からスタートしましたが、今回は詰みやすくするために△1二玉と最初から玉を盤の端に寄せておきます。

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3) 王手をした局面を作る

 △1二玉に対して銀で王手をできるのは2一・2三・1三の三箇所です。

今回は▲2一銀と玉の斜め後ろから王手をしてみます。

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4) 玉に逃げられないように駒を配置する

 △1二玉に対して▲2一銀と王手をしています。

玉はどこに逃げられるでしょうか?

単純に逃げる手としては△1一玉・△1三玉・△2二玉・△2三玉があり、王手をしている銀を取る△2一玉もあります。

まずは▲2一銀が取られないように2一の地点に利かして駒を配置してみましょう。

例えば▲3二金とすればどうでしょうか。

△2二玉と逃げる手も防いでいるので一石二鳥です。

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あとは△1一玉・△1三玉・△2三玉と逃げる手も防ぐ必要があります。

単純に△1一香・△1三歩・△2三歩と玉方に障害物として駒を配置することで解決してみます。

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STEP2:1手詰を作る

STEP1で詰め上がり図を作ったら、これを1手詰の局面にします。

つまり、王手がかかっていない1手前の状態にします。

▲2一銀と王手をしているので、2一の銀を王手がかかっていないどこかへ移動させる必要があります。

前回と同様に2通りの方法がありそうです。

  1) 王手をかけている駒を持ち駒にする

  2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す

前回は「1) 王手をかけている駒を持ち駒にする」という操作して作ったので、今回は「2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す」という操作して作りたいと思います。

次の手で▲2一銀と移動させるためには▲2二銀と配置するしかありません。

下記の局面で▲2一銀不成と銀を移動させれば詰むことを確認してください。

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STEP3:1手詰を詰まないように手を加える

STEP2で作った1手詰に手を加えて詰まないようにしてみます。

前回と同様に玉を移動させて詰まないようにしようとしても、玉はこれ以上動くことができません。

従って、

  1) 玉方に駒を配置して王手をしている攻め方の駒を取れるようにする

  2) 玉方の駒を除去して玉の逃げ道を確保する

のいずれかの方法になりそうです。

今回は「2) 玉方の駒を除去して玉の逃げ道を確保する」という操作をして詰まないようにしてみます。

具体的には△1三歩を除去します。

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これで▲2一銀不成のときに△1三玉と逃げだして詰まなくなります。

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STEP4:退路を封鎖する方法を考える

何とかして1三に玉方の駒を出現させられれば▲2一銀で詰ますことができます。

今回思い付いた方法は下記の2つです。

  1) 1三に合駒をさせる

  2) 捨て駒をして玉方の駒を1三に移動させる

今回は「2) 捨て駒をして玉方の駒を1三に移動させる」方針で作っていきます。

盤上に配置した玉方の駒が1三に移動できなければいけないので、候補となる駒を考えていきます。

歩はどうでしょう。

歩は前に1マスしか進めず、△1三歩から戻そうとしても△1二玉が邪魔をしていて戻れません。

香車も前にしか進めないので、歩と同様にダメです。

桂馬は△1三桂と配置すると△2一桂と1手戻すことができます。

銀は△1三銀と配置すると△2四銀と1手戻すことができます。

金は△1三金と配置すると△1四金と1手戻すことができます。

角は△1三角と配置すると△2四角や△3五角などと1手戻すことができます。

飛車は△1三飛と配置すると△1四飛や△1五飛などと1手戻すことができます。

従って、候補となる駒は桂馬・銀・金・角・飛車です。

今回は桂馬を△2一桂と配置し、捨て駒をして△1三桂と移動してもらうことにします。

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STEP5:退路を封鎖するための捨て駒を選ぶ

攻め方は1三に捨て駒をして△1三桂と取ってもらう必要があります。

1三に捨てる駒の候補は何があるでしょうか?

△1二玉に対して王手でなければならないので、角や桂馬といった前に利きのない駒はダメです。

従って、捨て駒の候補は歩・香車・銀・金・飛車となります。

とりあえず▲1三金と金を捨ててみることにします。

△1三同桂と取ってくれるでしょうか?

これは都合良く▲2二銀のおかげで△1三同桂と取るしかありません。

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STEP6:1手戻した局面が想定通り詰むか確認する

STEP5で作成した局面に対して、STEP2で行ったのと同様の操作をして1手戻して3手詰を作ります。

▲1三金を持ち駒にするか盤上から動かすかのどちらかになりますが、今回は金を持ち駒にしてみましょう。

下記の局面が▲1三金△同桂▲2一銀不成の手順で駒余りがなく詰むことを確認してください。

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STEP7:余詰めがないか確認する

それでは作った問題に余詰めがないか確認しましょう。

余詰め、つまり想定した手順(作意手順)以外の攻め手で詰む手順はあるでしょうか?

一見余詰めはなさそうですし、脊尾詰で確認しても余詰めは見つけられませんでした。

というわけで、3手詰の完成です!

想定した手順(作意手順)は▲1三金△同桂▲2一銀不成です。

 

STEP8:手数を伸ばして5手詰にする

STEP7まででとりあえず3手詰はできました。

ただ少し簡単すぎるでしょうか?

今回は3手詰を工夫するというより、手数を伸ばして5手詰にすることを考えてみましょう。

1手詰から3手詰にしたときと同じように考えていけば5手詰を作ることができます。

STEP3と同様に3手詰を詰まないように手を加えます。

相変わらず玉はこれ以上動けないので、詰まないようにするにはやはり

  1) 玉方に駒を配置して王手をしている攻め方の駒を取れるようにする

  2) 玉方の駒を除去して玉の逃げ道を確保する

のいずれかの方法になりそうです。

1手詰から3手詰にしたときと同様に「2) 玉方の駒を除去して玉の逃げ道を確保する」という方針で手数を伸ばしていきます。

▲1三金△同桂▲2一銀不成の局面で、手順に登場する△2一桂を除けば△1一香と△2三歩が玉の逃げ道を塞ぐ障害物となっています。

今回は△2三歩を除去してみます。

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これで▲1三金△同桂▲2一銀不成と進めたときに、△2三玉と逃げることができるので詰みません。

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何とかして2三に玉方の駒を出現させられれば、▲1三金△同桂▲2一銀不成の手順で詰ますことができます。

STEP4と同様に考えていくと、

  1) 2三に合駒をさせる

  2) 捨て駒をして玉方の駒を2三に移動させる

のいずれかになりそうです。

今度は「1) 2三に合駒をさせる」方針で作っていきましょう。

合駒をしてもらうには香車・飛車・角といった遠くまで利きが及ぶ駒で王手をしないと起こり得ません。

△1二玉に対して王手をして2三に合駒をしてもらうには角を使うしかありません。

試しに▲3四角と設置してみましょう。

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△2三歩などと合駒をしてくれるでしょうか?

玉の逃げ道もありませんし、これは2三に合駒をするしかなさそうです。

では1手戻してみましょう。

角を手持ちにするか、盤上から動かすか、どちらにしましょうか。

とりあえず次に▲3四角と移動できるように▲4三角と設置してみます。

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ここで、角を4三から3四に移動させるときに成か不成かの選択肢があり、余詰めのように見えますが、どちらを選んでも詰み手順に影響しない場合は余詰めと見なされません。

ただ、作意手順が▲3四角成・▲3四角不成のどちらかに定まらない状態(成不成非限定)は、詰将棋を作品として見たときに評価が下がります。

従って、▲4三角ではなく▲4三馬と最初から角を成っておく方がこの場合は無難でしょう。

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さぁ、余詰めはあるでしょうか?

作意手順は▲3四馬△2三歩▲1三金△同桂▲2一銀不成ですが、実は▲1三金△同桂▲3四馬△2三歩▲2一銀不成という手順前後で詰む順があるのに気付けたでしょうか?

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初手▲1三金からの手順を消すためには、初手▲1三金としたときに△同桂以外の応手で王手を逃れて詰まなく必要があります。

そこで、△1三同桂とさせる捨て駒を金ではなく歩に変更して、△2三玉から逃げられるようにしてみます。

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初手▲1三歩としたら玉は詰むでしょうか?

これは△2三玉から逃げて詰まなそうです。

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それでは、持ち駒を金から歩に変更した局面で余詰めを確認します。

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これは余詰めがなさそうで、もちろん駒余りもありません。

脊尾詰で確認しても余詰めはないとの結果だったので、概ね問題はなさそうです。

ということで、遂に5手詰が完成しました!

作意手順は▲3四馬△2三歩▲1三歩△同桂▲2一銀不成です。

▲3四馬に△2三金と合駒をしても、▲1三歩に対して馬の利きで△同金とは取れないので、▲3四馬には何を合駒しても作意手順で詰みます(非限定合)。

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詰将棋創作超入門 ~駒を捨てる3手詰を作ってみよう①~

本記事では「詰将棋創作超入門」と題して、詰将棋を作ったことない人のために詰将棋の創作方法を書いていきたいと思います。

私自身が詰将棋創作の経験が豊富なわけではありませんが、それでも本記事が詰将棋創作を始めるきっかけになれば幸いです。

また、本記事に記載されている表現が厳密な詰将棋のルールと若干相違がある場合がありますが、分かりやすい説明を心掛けた結果ですので、ある程度目を瞑っていただければと思います。

 

 

STEP1:詰め上がりの図を作る

まずは詰め上がりの図を作ります。

手順は下記の通りです。

  1) 王手をする駒を決める

  2) 玉の位置を決める

  3) 王手をした局面を作る

  4) 玉に逃げられないように駒を配置する

例を挙げて説明していきます。

1) 王手をする駒を決める

今回は金で王手をして詰みにする問題にします。

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2) 玉の位置を決める

とりあえず△5一玉と居玉にしてみます。

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3) 王手をした局面を作る

金で王手ができるのは6一・6二・5二・4一・4二と5箇所あります。

今回は▲5二金と頭金の王手をしてみます。

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4) 玉に逃げられないように駒を配置する

△5一玉に対して▲5二金で王手をしています。

玉の逃げ道はあるでしょうか?

この場合は玉は6一・6二・4一・4二の4箇所へは逃げられません。

しかし、唯一の逃げ道として△5二玉と金を取る手があります。

従って、5二の地点に駒の利きを作って王手をしている▲5二金を支える必要があります。

▲5三歩と配置して5二の地点に利かせて▲5二金を支えてみます。

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ここでは玉の逃げ方のみを考えましたが、香車・飛車・角といった遠くまで利きが及ぶ駒での王手を考える場合は、合駒で王手を回避する手も考える必要が出てくるので注意してください。

STEP2:1手詰を作る

STEP1で詰め上がりの図を作ったら、これを1手詰の問題にします。

つまり、王手がかかっていない1手前の状態にします。

今回は▲5二金と王手をしているので、5二の金を王手がかかっていないどこかへ移動させる必要があります。

方法としては下記の2通りです。

  1) 王手をかけている駒を持ち駒にする

  2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す

1) 王手をかけている駒を持ち駒にする

今回は▲5二金と王手をしており、金を持ち駒にしてしまうのが一番単純かもしれません。

下記の局面で▲5二金と打てば詰むことを確認してください。

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2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す

次の手で▲5二金と移動させるためには、▲6二金・▲6三金・▲4二金・▲4三金のいずれかに配置する必要があります。

しかし、▲6二金と▲4二金は王手なので、王手ではない▲6三金か▲4三金のいずれかになります。

下記の局面で▲5二金と移動させれば詰むことを確認してください。

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STEP3:1手詰を詰まないように手を加える

STEP2で作った下記の1手詰に手を加えて詰まないようにしてみます。

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この局面で詰まないようにするには下記の2通りの方法があります。

  1) 玉を移動させる

  2) 玉方に駒を配置する

1) 玉を移動させる

△5一玉が移動できるのは△6一玉・△6二玉・△5二玉・△4一玉・△4二玉の5通りあります。

しかし、△5二玉は王手なので、玉を移動させるなら△6一玉・△6二玉・△4一玉・△4二玉の4通りとなります。

とりあえず△4二玉と移動させてみましょう。

下記の局面が詰まないことを確認してください。

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2) 玉方に駒を配置する

玉が詰まないようにするのに玉方(詰まされる側)に駒を配置するわけですが、

  2-1) 詰まそうとしてきたときに駒が取れるように玉方に駒を配置する

  2-2) 持ち駒を打って詰ます場合、打てないようにその地点に玉方に駒を配置する

のいずれかの方法をとることになります。

2-1) 詰まそうとしてきたときに駒が取れるように玉方に駒を配置する

次に▲5二金の1手詰の状況なので、▲5二金とされてもこれを取れるように5二の地点に駒を利かせます。

例えば、玉方に△6一銀と駒を配置したらどうでしょうでしょうか。

下記の局面で▲5二金と打っても詰まないことを確認してください。

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2-2) 持ち駒を打って詰ます場合、打てないようにその地点に玉方に駒を配置する

次に▲5二金と金を打たれないように5二の地点に予め駒を配置しておくのも一つの手です。

将棋の格言に「敵の打ちたいところに打て」というものがありますが、まさにそれです。

例えば、玉方に△5二銀と駒を配置したらどうでしょうでしょうか。

下記の局面が詰まないことを確認してください。

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STEP4:玉を呼び戻せるように捨て駒を配置する

今回はSTEP3で1手詰に「1) 玉を移動させる」方法で詰まないようにした局面を使っていきます。

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玉を4二から5一の地点に移動させられれば▲5二金で詰ますことができます。

詰将棋の手筋として"捨て駒"というのがあり、今回は捨て駒をすることで玉を5一の地点に呼び戻す詰将棋を作っていきます。

呼び戻したい地点は5一なので5一に王手となるような捨て駒を配置します。

今回は景気良く龍を捨ててみます。

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STEP5:詰むように再び手を加える

さぁ、玉は△5一玉と取ってくれるでしょうか?

△5一玉と龍を取ってくれれば、予定通り▲5二金で詰ますことができますが、△3二玉・△3三玉・△4三玉といった逃げ道があって詰みません。

従って、△3二玉・△3三玉・△4三玉とさせないように再び手を加えなければなりません。

玉を逃がさないようにするには、下記の2通りがあります。

  1) 玉方に障害物として駒を配置する

  2) 攻め方(詰ます側)に駒を配置して逃げられなくする

1) 玉方に障害物として駒を配置する

玉方に△3二香・△3三歩・△4三歩と配置したらどうでしょう。

今度は逃げ道が全て塞がれているので▲5一竜に△5一同玉と取るしかありません。

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2) 攻め方に駒を配置して逃げられなくする

攻め方(詰ます側)に▲2三金・▲3四歩・▲4四歩と配置したらどうでしょう。

今度も逃げ道が全て塞がれているので▲5一龍に△5一同玉と取るしかありません。

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STEP6:1手戻した局面が想定通り詰むか確認する

STEP5で「1) 玉方に障害物として駒を配置する」方法で作成した局面に対して、STEP2で行ったのと同様の操作をして1手戻して3手詰を作ります。

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△5一龍とはいきなり打てないので、「2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す」という操作をします。

例えば、次に▲5一飛成として龍を作れるように▲6一飛と配置してみます。

下記の局面が▲5一飛成△同玉▲5二金の手順で持ち駒が余ることなく詰むことを確認してください。

詰将棋は想定した手順の詰め上がりの局面で「持ち駒が余ってはいけない」というルールになっています。

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STEP7:余詰めがないか確認する

3手詰が完成したと喜んではいけません。

作った問題に余詰めがないかを確認してください。

詰将棋を創作する側のルールとして「想定した手順以外の攻め手で詰んではいけない」というのがあります。

想定した手順以外の攻め手で詰む状態を「余詰め」と言い、余詰めがある詰将棋は不完全とみなされます。

但し、想定した手順の最終手は複数の攻め手があっても許容されます。

例えば、下記の局面は▲5二歩成と▲5二金のどちらでも詰みますが、次に詰むという最終手の局面なのでそれほど問題になりません。

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さぁ、STEP6で作った詰将棋に余詰めはあるでしょうか?

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▲5一飛成△同玉▲5二金の3手詰の手順以外に、▲5二金の1手詰の手順が生じてしまっているのが分かるでしょうか。

つまり、初手に▲5一飛成と▲5二金という2通りの攻め手があるため、残念ながらこれは余詰めのある問題です。

STEP8:余詰めをなくすように手を加える

初手▲5二金で詰まないようにするためには、例えば玉方の△4三歩を除去しなければなりません。

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初手▲5一飛成から王手をかけると玉はどのように逃げるでしょうか。

▲5一飛成に△同玉なら想定通り▲5二金で詰みますが、当然△4三玉と逃げて次に▲5二龍と追っても△5四玉・△4四玉・△3四玉などと更に逃げられてしまいます。

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これらの逃げ道を塞ぐために攻め方に▲5五銀を配置してみます。

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STEP5の「2) 攻め方に駒を配置して逃げられなくする」を応用した考え方です。

これで▲5一飛成△4三玉のときに▲4四金と詰ますことができます。

このように△4三玉と逃げる手を回避できそうもない場合は、逃げた先で詰むようにするのが詰将棋を作る上でよく使う考え方です。

さぁ、作った詰将棋に駒余りや余詰めが生じていないことを確認してください。

想定した手順に駒余りがなく、余詰めもないようなら完成です。

(他にも創作上気を付けないといけない細かいルールがありますが、それは各自で調べてみてください…。)

STEP9:良い詰将棋になるように工夫する

STEP8まででとりあえず詰将棋と呼べるものはできました。

今回は欲張って少し工夫してみましょう。

"良い詰将棋"と評価されるにはいくつか考え方がありますが、とりあえず盤上の駒を減らす努力をしてみましょう。

先程作った作った詰将棋を見ると△3二香と△3三歩が単なる壁の役割しか果たしていません。

この2つの駒を除去するには配置を右に3マス移動させることで実現できます。

盤の右端が壁になってくれるので、△3二香と△3三歩を配置する必要がなくなりました。

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さて、余詰めはあるでしょうか?

実は新たな余詰めが生じています。

初手▲2二金とすると以下△1三玉▲1一飛成で詰んでしまいます。

また、初手▲3二飛成とすると△1三玉▲2二龍でこれも詰みです。

先程余詰めを防ぐために攻め方に配置した▲2五銀が退路を塞いでいるために、新たな余詰めが生じてしまいました。

では▲2五銀を除去できないでしょうか。

▲2五銀を除去した局面を作ります。

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▲2一飛成△1三玉の局面で、▲2三歩がいなければ龍の利きのおかげで▲2四金と金を打てば詰みであることに気付けたでしょうか?

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最後に▲2二金と頭金で詰ませられればよく、2二の地点に駒の利きがあれば▲2三歩でなくてもいいので、▲3四桂に変更してみましょう。

これで2二の地点に駒の利きを残しつつ、龍の働きが良くなりました。

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再び余詰めがないか確認します。

残念ながら想定の初手である▲2一飛成以外に▲3二飛成と一間龍の形からの詰み手順があり、これも余詰めです(ややこしいので詳細な手順は割愛)。

この余詰めを消すために攻め方の飛車の配置を▲3一飛ではなく▲4一飛と少し離してみます。

これで▲4二飛成としても△2三玉から逃げ出すことができ、詰みを逃れることができます。

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これで3手詰の完成です!

想定した手順(作意手順)は▲2一飛成△同玉▲2二金です。

▲2一飛成に△1三玉と逃げても▲2四金で詰みます。

STEP10:ソフトで詰将棋として成立しているかを確認する

作った詰将棋に本当に余詰めがないかなど、詰将棋として成立しているかどうかをソフトで確認しましょう。

詰将棋を人に出題するならこれが最低限の義務です。

ソフトとして例えば脊尾詰があります。

panashogi.web.fc2.com

脊尾詰の導入方法や設定は下記の記事に詳しく記載されているので参考にしてみてください。

blog.livedoor.jp

他にも柿木将棋など代表的なソフトがいくつかあるので調べてみてください。

 

 

次の記事↓

sakura-gogogo.hatenablog.com

古典詰将棋に挑戦しよう!

(最終更新日:2019/11/22)

古典詰将棋の中から9手以下の作品を厳選して紹介します。

解答はツイートのリプライ欄に記載しています。

 

 

象戯造物(1602年, 慶長7年)

 

将棋駒競(1649年, 慶安2年)

原本:http://www.afc.ryukoku.ac.jp/kicho/cont_06/pages_06/v_menu/0624.html

 

将棋勇略(1700年, 元禄13年)

 

術知象戯カ草宗桂指南抄(1703年, 元禄16年)

原本:http://www.library-noda.jp/homepage/digilib/shogi/39.html

 

象戯秘曲集(1752年, 宝暦2年)

 

 

待宵(1866年, 慶応2年)

 

将棋妙案(刊行年不明)

 

古作物諸集(刊行年不明)