さくらの将棋研究室

ただの将棋好きが将棋のことをダラダラと書くブログです。

詰将棋創作超入門 ~駒を捨てる3手詰を作ってみよう①~

本記事では「詰将棋創作超入門」と題して、詰将棋を作ったことない人のために詰将棋の創作方法を書いていきたいと思います。

私自身が詰将棋創作の経験が豊富なわけではありませんが、それでも本記事が詰将棋創作を始めるきっかけになれば幸いです。

また、本記事に記載されている表現が厳密な詰将棋のルールと若干相違がある場合がありますが、分かりやすい説明を心掛けた結果ですので、ある程度目を瞑っていただければと思います。

 

 

STEP1:詰め上がりの図を作る

まずは詰め上がりの図を作ります。

手順は下記の通りです。

  1) 王手をする駒を決める

  2) 玉の位置を決める

  3) 王手をした局面を作る

  4) 玉に逃げられないように駒を配置する

例を挙げて説明していきます。

1) 王手をする駒を決める

今回は金で王手をして詰みにする問題にします。

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2) 玉の位置を決める

とりあえず△5一玉と居玉にしてみます。

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3) 王手をした局面を作る

金で王手ができるのは6一・6二・5二・4一・4二と5箇所あります。

今回は▲5二金と頭金の王手をしてみます。

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4) 玉に逃げられないように駒を配置する

△5一玉に対して▲5二金で王手をしています。

玉の逃げ道はあるでしょうか?

この場合は玉は6一・6二・4一・4二の4箇所へは逃げられません。

しかし、唯一の逃げ道として△5二玉と金を取る手があります。

従って、5二の地点に駒の利きを作って王手をしている▲5二金を支える必要があります。

▲5三歩と配置して5二の地点に利かせて▲5二金を支えてみます。

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ここでは玉の逃げ方のみを考えましたが、香車・飛車・角といった遠くまで利きが及ぶ駒での王手を考える場合は、合駒で王手を回避する手も考える必要が出てくるので注意してください。

STEP2:1手詰を作る

STEP1で詰め上がりの図を作ったら、これを1手詰の問題にします。

つまり、王手がかかっていない1手前の状態にします。

今回は▲5二金と王手をしているので、5二の金を王手がかかっていないどこかへ移動させる必要があります。

方法としては下記の2通りです。

  1) 王手をかけている駒を持ち駒にする

  2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す

1) 王手をかけている駒を持ち駒にする

今回は▲5二金と王手をしており、金を持ち駒にしてしまうのが一番単純かもしれません。

下記の局面で▲5二金と打てば詰むことを確認してください。

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2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す

次の手で▲5二金と移動させるためには、▲6二金・▲6三金・▲4二金・▲4三金のいずれかに配置する必要があります。

しかし、▲6二金と▲4二金は王手なので、王手ではない▲6三金か▲4三金のいずれかになります。

下記の局面で▲5二金と移動させれば詰むことを確認してください。

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STEP3:1手詰を詰まないように手を加える

STEP2で作った下記の1手詰に手を加えて詰まないようにしてみます。

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この局面で詰まないようにするには下記の2通りの方法があります。

  1) 玉を移動させる

  2) 玉方に駒を配置する

1) 玉を移動させる

△5一玉が移動できるのは△6一玉・△6二玉・△5二玉・△4一玉・△4二玉の5通りあります。

しかし、△5二玉は王手なので、玉を移動させるなら△6一玉・△6二玉・△4一玉・△4二玉の4通りとなります。

とりあえず△4二玉と移動させてみましょう。

下記の局面が詰まないことを確認してください。

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2) 玉方に駒を配置する

玉が詰まないようにするのに玉方(詰まされる側)に駒を配置するわけですが、

  2-1) 詰まそうとしてきたときに駒が取れるように玉方に駒を配置する

  2-2) 持ち駒を打って詰ます場合、打てないようにその地点に玉方に駒を配置する

のいずれかの方法をとることになります。

2-1) 詰まそうとしてきたときに駒が取れるように玉方に駒を配置する

次に▲5二金の1手詰の状況なので、▲5二金とされてもこれを取れるように5二の地点に駒を利かせます。

例えば、玉方に△6一銀と駒を配置したらどうでしょうでしょうか。

下記の局面で▲5二金と打っても詰まないことを確認してください。

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2-2) 持ち駒を打って詰ます場合、打てないようにその地点に玉方に駒を配置する

次に▲5二金と金を打たれないように5二の地点に予め駒を配置しておくのも一つの手です。

将棋の格言に「敵の打ちたいところに打て」というものがありますが、まさにそれです。

例えば、玉方に△5二銀と駒を配置したらどうでしょうでしょうか。

下記の局面が詰まないことを確認してください。

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STEP4:玉を呼び戻せるように捨て駒を配置する

今回はSTEP3で1手詰に「1) 玉を移動させる」方法で詰まないようにした局面を使っていきます。

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玉を4二から5一の地点に移動させられれば▲5二金で詰ますことができます。

詰将棋の手筋として"捨て駒"というのがあり、今回は捨て駒をすることで玉を5一の地点に呼び戻す詰将棋を作っていきます。

呼び戻したい地点は5一なので5一に王手となるような捨て駒を配置します。

今回は景気良く龍を捨ててみます。

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STEP5:詰むように再び手を加える

さぁ、玉は△5一玉と取ってくれるでしょうか?

△5一玉と龍を取ってくれれば、予定通り▲5二金で詰ますことができますが、△3二玉・△3三玉・△4三玉といった逃げ道があって詰みません。

従って、△3二玉・△3三玉・△4三玉とさせないように再び手を加えなければなりません。

玉を逃がさないようにするには、下記の2通りがあります。

  1) 玉方に障害物として駒を配置する

  2) 攻め方(詰ます側)に駒を配置して逃げられなくする

1) 玉方に障害物として駒を配置する

玉方に△3二香・△3三歩・△4三歩と配置したらどうでしょう。

今度は逃げ道が全て塞がれているので▲5一竜に△5一同玉と取るしかありません。

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2) 攻め方に駒を配置して逃げられなくする

攻め方(詰ます側)に▲2三金・▲3四歩・▲4四歩と配置したらどうでしょう。

今度も逃げ道が全て塞がれているので▲5一龍に△5一同玉と取るしかありません。

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STEP6:1手戻した局面が想定通り詰むか確認する

STEP5で「1) 玉方に障害物として駒を配置する」方法で作成した局面に対して、STEP2で行ったのと同様の操作をして1手戻して3手詰を作ります。

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△5一龍とはいきなり打てないので、「2) 盤上で王手がかからない位置に駒を戻す」という操作をします。

例えば、次に▲5一飛成として龍を作れるように▲6一飛と配置してみます。

下記の局面が▲5一飛成△同玉▲5二金の手順で持ち駒が余ることなく詰むことを確認してください。

詰将棋は想定した手順の詰め上がりの局面で「持ち駒が余ってはいけない」というルールになっています。

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STEP7:余詰めがないか確認する

3手詰が完成したと喜んではいけません。

作った問題に余詰めがないかを確認してください。

詰将棋を創作する側のルールとして「想定した手順以外の攻め手で詰んではいけない」というのがあります。

想定した手順以外の攻め手で詰む状態を「余詰め」と言い、余詰めがある詰将棋は不完全とみなされます。

但し、想定した手順の最終手は複数の攻め手があっても許容されます。

例えば、下記の局面は▲5二歩成と▲5二金のどちらでも詰みますが、次に詰むという最終手の局面なのでそれほど問題になりません。

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さぁ、STEP6で作った詰将棋に余詰めはあるでしょうか?

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▲5一飛成△同玉▲5二金の3手詰の手順以外に、▲5二金の1手詰の手順が生じてしまっているのが分かるでしょうか。

つまり、初手に▲5一飛成と▲5二金という2通りの攻め手があるため、残念ながらこれは余詰めのある問題です。

STEP8:余詰めをなくすように手を加える

初手▲5二金で詰まないようにするためには、例えば玉方の△4三歩を除去しなければなりません。

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初手▲5一飛成から王手をかけると玉はどのように逃げるでしょうか。

▲5一飛成に△同玉なら想定通り▲5二金で詰みますが、当然△4三玉と逃げて次に▲5二龍と追っても△5四玉・△4四玉・△3四玉などと更に逃げられてしまいます。

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これらの逃げ道を塞ぐために攻め方に▲5五銀を配置してみます。

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STEP5の「2) 攻め方に駒を配置して逃げられなくする」を応用した考え方です。

これで▲5一飛成△4三玉のときに▲4四金と詰ますことができます。

このように△4三玉と逃げる手を回避できそうもない場合は、逃げた先で詰むようにするのが詰将棋を作る上でよく使う考え方です。

さぁ、作った詰将棋に駒余りや余詰めが生じていないことを確認してください。

想定した手順に駒余りがなく、余詰めもないようなら完成です。

(他にも創作上気を付けないといけない細かいルールがありますが、それは各自で調べてみてください…。)

STEP9:良い詰将棋になるように工夫する

STEP8まででとりあえず詰将棋と呼べるものはできました。

今回は欲張って少し工夫してみましょう。

"良い詰将棋"と評価されるにはいくつか考え方がありますが、とりあえず盤上の駒を減らす努力をしてみましょう。

先程作った作った詰将棋を見ると△3二香と△3三歩が単なる壁の役割しか果たしていません。

この2つの駒を除去するには配置を右に3マス移動させることで実現できます。

盤の右端が壁になってくれるので、△3二香と△3三歩を配置する必要がなくなりました。

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さて、余詰めはあるでしょうか?

実は新たな余詰めが生じています。

初手▲2二金とすると以下△1三玉▲1一飛成で詰んでしまいます。

また、初手▲3二飛成とすると△1三玉▲2二龍でこれも詰みです。

先程余詰めを防ぐために攻め方に配置した▲2五銀が退路を塞いでいるために、新たな余詰めが生じてしまいました。

では▲2五銀を除去できないでしょうか。

▲2五銀を除去した局面を作ります。

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▲2一飛成△1三玉の局面で、▲2三歩がいなければ龍の利きのおかげで▲2四金と金を打てば詰みであることに気付けたでしょうか?

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最後に▲2二金と頭金で詰ませられればよく、2二の地点に駒の利きがあれば▲2三歩でなくてもいいので、▲3四桂に変更してみましょう。

これで2二の地点に駒の利きを残しつつ、龍の働きが良くなりました。

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再び余詰めがないか確認します。

残念ながら想定の初手である▲2一飛成以外に▲3二飛成と一間龍の形からの詰み手順があり、これも余詰めです(ややこしいので詳細な手順は割愛)。

この余詰めを消すために攻め方の飛車の配置を▲3一飛ではなく▲4一飛と少し離してみます。

これで▲4二飛成としても△2三玉から逃げ出すことができ、詰みを逃れることができます。

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これで3手詰の完成です!

想定した手順(作意手順)は▲2一飛成△同玉▲2二金です。

▲2一飛成に△1三玉と逃げても▲2四金で詰みます。

STEP10:ソフトで詰将棋として成立しているかを確認する

作った詰将棋に本当に余詰めがないかなど、詰将棋として成立しているかどうかをソフトで確認しましょう。

詰将棋を人に出題するならこれが最低限の義務です。

ソフトとして例えば脊尾詰があります。

panashogi.web.fc2.com

脊尾詰の導入方法や設定は下記の記事に詳しく記載されているので参考にしてみてください。

blog.livedoor.jp

他にも柿木将棋など代表的なソフトがいくつかあるので調べてみてください。

 

 

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